日本ヨーガ・ニケタン オフィシャル サイト

ヨーガ・ニケタンでは、ヨーガ(ヨガ)・インストラクター養成講座(インド中央政府科学技術省認定)をはじめ
ヨーガ(ヨガ)に関して総合的に学ぶ機会を提供します

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*ヨーガによる健康増進法

 今から3000年近い前に書かれたヨーガの聖典の一つである「白いラバの仙人のウパニシャッド」というヨーガの聖典にはこんな事が書かれてあります。身 体の中にヨーガの特別な性質が現れると、その賢い人間はヨーガの火の身体を手に入れたのであり、その者は病気にかかることもなくなり、老化もせずに死ぬこ ともなくなる。このヨーガの特別な性質が現れると、その人の身体はまず、軽くなり、その身が健やかになり、落ち着きが生じ、顔色も清らかになり、声も心地 よいものになり、身体からも良い香りがするようになり、排泄物も少なくなる」 (シュヴェタシュヴァタラ・ウパニシャッド第2章12,13節)

 ここで言われているヨーガと言うのは、単純にヨーガ体操だけではありません。そうではなく、呼吸法も瞑想法も、そして食餌法から生活全般のものの考え方 や行動の仕方までその範囲に入れられる、ヨーガ的な生活の送り方のことを言っているのです。ヨーガ的な生活を送るようになると、すこぶる元気になること は、ヨーガ行者さんたちには昔から分かっていたのです。なぜ元気になるのでしょうか? 元気になるメカニズムはどうなっているのでしょうか?ここで皆さん にとっておきのヨーガの秘密をお伝えして、私の「ヨーガってなに?」シリーズを終わらせていただきます。



*一人の人間は五つの体を持っている

 ヨーガ行者さんたちは昔から、人間は決して肉体だけでできているのではないと考えてきていました。そうではなく、五種類の体が重なっているのだと考えて きているのです。これらの各体は、英語に直すと『カバー(被い)』と訳せるインドの言葉である『シェース』という言葉で呼ばれています。ですから私は、こ の『被い(シェース、カバー)』という言葉を『さや(鞘)』」と訳しています。そして、私たちが普段肉体と呼んでいるのは、人間の一番外側を被っている 『食物鞘』、その内側を被っているのが『生気鞘』、次に感覚器官からなる『意思鞘』、知性の働きを司る『理智鞘』、最後に、とらわれのない喜びに満ちた 『歓喜鞘』があり、更にその内部にアートマンと呼ばれる純粋な意識(神様の意識)が宿っており、このアートマンこそが私たちの『真実の我』なのだと、歴代 のヨーガ行者さんたちは教え続けています。ですから、アートマン(真我)にまで至る五つの鞘は、それがいかにも自分で在るかのように見えても、偽りの自分 にしか過ぎないので、もしもそれらの鞘をいかにも自分だと錯覚してしまうと、私たち人間は色々な苦しみに襲われるようになると、ヨーガではこれまでに教え 続けているのです。ヨーガ・セラピーと病気の発病原因以上のように人間には五つの「さや(鞘)」があるとヨーガで言われてきているのですが、これらの鞘の 調子が乱れてしまうと、人間の体調が崩れて病気が生じてくると考えられています。例えば、図1に意思鞘と書いてありますが、この意思鞘に属している(味覚 や聴覚などの)感覚の器官が混乱して働く(激しい食欲などの)ようになると、「気」の働きによってできている生気鞘の働きが乱されて、それが肉体と呼んで いる食物鞘の不調を引き起こしてくるので、その為に、例えばぜん息になったり、糖尿病になったり、癌になったりするのだと、ヨーガでは考えているのです。

 ですから肉体の病気の発病原因は、その患者の感覚器官の働きの乱れにあると考えますので、病気の根本治療はその患者の感覚器官の働かせ具合を直してやる ことであると考えているのです。こうした考え方は、現代の西洋医学では心身症の病気として数えられている疾患の発病因に対する考え方に近いものだと言えま す。ヨーガでは既にはるか昔から、肉体の病気の発病原因はこうしたものだと考えられていたのです。こうした病気に関する考え方を持って患者に対処して行く 方法がヨーガ・セラピーと呼ばれている病気治療法なのです。



 *ヨーガ・セラピーの加療現場

 インド・デカン高原の南に位置するカルナタカ州の州都バンガロール市は、一年を通じて気候が温暖な上に、優秀で労賃の安いコンピューターのシステム・エ ンジニアたちを雇える地でもあるために、今や世界のコンピューター・ソフト制作の中心地になっています。それ程に科学に関わるインド人たちが多く集まって いる土地なのですが、この地を出身地として活躍する科学者たちが中心になって、ヨーガ・セラピーを研究する或る研究財団がこのバンガロール市に本部を設立 して、世界中にその臨床研究の成果を発信し続けているのです。それが、インドで最も有名なヨーガ行者であるスワミ・ヴィヴェーカナンダ大師の名前を冠した スワミ・ヴィヴェーカナンダ・ヨーガ研究財団であり、その何万坪もある広大な敷地に展開されているヨーガ・セラピー療養施設が「安らぎの里」と呼ばれてい る施設なのです。ここに2枚の写真でその広大なヨーガ・セラピー療養施設の一部を紹介させていただいていますが、こうしたヨーガ・セラピーは、この施設の ように長期滞在型の施設ばかりでなく、インド各州の大型総合病院や大学病院内には「ヨーガ・セラピー科」として、内科や外科と肩を並べて外来診療の窓口が 設けられている場合が数多く見受けられるのです。
 それ程にヨーガ・セラピーは、インドにあっては一般社会においても公認されている診療科目なのです。以下に、先の安らぎの里開設の初期の頃に行われたぜ ん息患者に対するヨーガ・セラピーの治療法による臨床研究で、1985年にイギリスの医学雑誌にも取り上げられて、それ以降のヨーガ・セラピー関連の医学 研究報告に道を開いた論文の一部を分かりやすく表にまとめたものを紹介させて頂くことにします。この表をご覧頂ければ、如何にヨーガ・セラピーがぜん息な どの心身相関疾患の症状緩和に有効かがお分かり頂けると思います。

この文書は1999年~2000年にかけて発行された日本マタニティヨーガ協会誌などに掲載された木村慧心師著の論文をもとに編集されています。

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