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ヨーガ・ニケタンでは、ヨーガ(ヨガ)・インストラクター養成講座(インド中央政府科学技術省認定)をはじめ
ヨーガ(ヨガ)に関して総合的に学ぶ機会を提供します

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■ヨーガとは何か1

  ヨーガを実践する全ての者の必読の書、パタンジャリ大師 編纂の「ヨーガ・スートラ」には、ヨーガについて次のように書かれてます。

「ヨーガとは心素の働きを止滅することである (ヨーガシ チッタ ブリッティ ニローダハ)」(ヨーガ・スートラ第一章第2節)

心素というのは、チッタというサンスクリットの言葉ですが、これは、内的心理器官とよばれる4つのうちの一つで、記憶を司る心の臓器です。要するに意識作用と言うことです。つまり、ヨーガは意識作用を止めるといっても良いでしょう。

この意識作用というのは、例えば「私は○○である。」とか「○○大学を卒業した人間である」「○○会社の社長である」という社会的な相対的関係のなかで自 分を規定する思いです。ヨーガを行じるのに必要なのは、こうした相対的な対立する感情の克服をまずしなければなりません。こうした相対的な事への感情の克 服から始まり、自分は「この肉体では無い」という境地まで自分は○○ではない、自分は○○ではない、という作業を繰り返し、最終的に、「自分はこの世を維 持し進展進化させる存在と同一である」という境地に至らしめるその手法がヨーガといえます。
 ヨーガ・スートラの第1章第12節にはこの対立する感情を克服するやり方として次のように規定しています。

 「心素の働きの止滅は、勤修(アビヤーサ)と離欲(ヴァイラーギア)によって成し遂げられる」
       (アブフヤーサ ヴァイラーギヤーブフーヤン タン ニローダハ)

 つまり繰り返し、繰り返しあきらめることなく、自分を無くして行くように努力することなのです。


ヨーガの歴史

 インドの地を流れる二大河川ガンジスとインダスの大河の、インダス河下流域に今から5000年近く前に突如として栄え始めたのがインダス文明と呼ばれる 都市国家群でした。現在この地は砂漠化してしまい、それら文明の都市遺跡は砂漠の砂を掘り起こして調査研究が為されてはいますが、その都市国家の遺跡の中 からヨーガ行者と同じく両足を組んで5座る人物像を彫り込んだ小さな「はんこう(印)」が発見されています。
 その人物像の頭上には、現在のヨーガ行者がよくしているように長い頭髪を団子状にして丸めてのせているので、この座像が彫られた5000年前には既にヨーガの瞑想修行を行じる人間たちがいたのではないかという意見も出ています。


 それでは何故その頃働らきもせずに足を組んで座っているような人間がこの地に出てきたのでしょうか? それは、いわゆる文明というものがどういうものか を考えてみれば容易に推測できることなのです。 古代文明は大河のほとりに栄えたという一つの法則があります。エジプトのナイル川しかり、メソポタミアの チグリス・ユーフラテス河しかり、中国の揚子江しかり、そしてインドのインダス河しかりです。


 何故に今から5000年前に人々は大河の周りに集まったかと言えば、それは水を得るため以外に他に理由はありません。当時地球の北半球の中緯度地帯は乾燥して砂漠化し、人々は大河の周りに集まらざるを得ない状況が生じていたと気象学者たちは言っています。

 当時既に麦や米を栽培する農業が行われていましたが、水が自由に得られない状況の中で人々は大河の周辺に集まらざるを得なくなり、そこにあっては水と土 地を早い時点で得たものは豊かな収穫を自分のものにできる立場に立てたはずです。しかし、水と土地を得られなかった人々は、地主の土地を耕作する労働力だ けを提供する立場に甘んじなければならなかったでしょう。ここに現代社会にまで続く、持てる者と持たざる者との差異が人間社会に生じたのです。


 即ち、高い生産力を手にした者が優者であり、低い生産力しか手にしていない者は劣者だという構図がここに出来上がったのです。この構図は大量生産と大量 消費をめざす産業革命を経てきた現代社会においては更に強調されており、あのバブル経済を経験した今日の日本社会においてもまだ、大会社の社長は偉い、ベ ンチャー・ビジネスを起こして未来の高収益が期待できる会社を経営する者は偉い、広大な土地を所有する者は偉い、高い収益が得られる医者や弁護士は偉い と、人間の優劣をその生産高で決める評価が生き残っています。しかし私たちの普通の常識が教えてくれることによれば、ある人間の評価は決してその者の生産 性の高低だけでは言い表せないということです。生産性の高い人間でもその品性、人品が限りなく低い人間も沢山いることは周知の事実です。

 逆に例えば、その身体に障害を持ち、生産性が極めて低い者であっても人の心を揺さぶるような素晴らしい行為を為す者もいます。今や死にかけている程の状 態に陥っている人間でも、すばらしいと評価できる行為が出来る者もいます。カルカッタに生きたあのマザーテレサさんを引き合いに出すまでもなく、そうした 偉人は世に沢山数え上げられます。金銭などの生産性に依るのでない別の人間評価に関する規準が存在することに、文明勃興の早い時点で気づいた人たちがイン ダス河流域には居たのであり、その人たちがヨーガの智慧を地上で最初に伝え始めたと私たちは考えています。

 そして、こうした価値規準を持って今日でもインドのヨーガ行者たちは生きているのです。皆さんのこれからの人生を「自分をより高尚な人間にさせたい」と お思いならば、是非簡単なヨーガ・セラピー技法から実習を始め、いずれは5000年近い教えの歴史を持つ伝統的なヨーガにも挑戦してみてください。

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